dramatic diary

ドラマ、映画、小説のいいところ

「ON 異常犯罪捜査官・藤堂比奈子」 第4話

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ON 異常犯罪捜査官・藤堂比奈子 | 関西テレビ放送 カンテレ

 

死体を切り取ったり、殺してから椅子に座らせて冷凍したり、という猟奇殺人犯を追う新人刑事が主人公のサスペンス・ミステリー。

主人公の女性刑事、比奈子(波瑠さん)が、殺人現場でも「興味深い」と微笑んでしまう、感情のないキャラクターなのが興味深いです。

 

共感性の低い人は意外と多い、という確信犯!?

 

第1話を見たときには、「登場人物に感情移入させて興味をつなぐのではなく、ストーリー展開で引っ張っていくつもりなのかも」と思い、以前のブログに書いたのですが、2話、3話、4話と見進めていくうちに、違うのかもしれないと思いました。

 

話が進むごとに、比奈子のほうが殺人犯でもおかしくない、共感性の低いセリフがどんどん出てきます。

「生き物は(バラバラにすると)後始末が大変ですから」

「結果的に殺してみてもいいかと思っている」

と、なかなかのモンスターぶりです。犯罪者主人公のドラマなら今までもありましたが、正義というか良い人系の主人公でこういう「日常のモンスター」は見たことがないですね。

 

モンスターとは、「他人への共感性が低く、他人の思考回路からは理解できない行動をとる」ことを指すと思いますが、今まで見た作品は、前半の「共感性が低い」部分よりは、後半の「理解できない行動」をメインに捉えていました。

たとえば「脳男」。小説で江戸川乱歩賞を獲り、生田斗真さん主役で映画化もされました。あれは脳も感情もなく人を殺しまくる殺人鬼を追う話でしたが、脳も感情もないので、ロボットと同じ。逆に「理解できるはずがない」という理解の範囲内ではありました。

 

しかし今回の主人公は、感情は薄いけどあり、他人への共感性が低く、それを自分でわかっていて、なぜなのか、これからどうなるのか、不安に思っています。

 

この設定は新しいと思います。ただ、他人への共感性が低い主人公は、視聴者からも共感されにくいので、プライムタイムのドラマとしてはどうなんだろうと思っていたんです。

が、どんどん出てくるモンスター的発言を見ていると、「他人への共感性が低い人はたくさんいる」という確信犯で、このままで多くの人に感情移入してもらえるはずだと読んでいるのかもしれません。 

 

比奈子と倉島との共感性対決が見たい

 

私も共感性が低いタイプで、そのことがコンプレックスとなっていて、人付き合いやら、仕事選びにまで影響してきています。

 

なので、今回の主人公を理解できます。私は共感性が低く、共感する場合は「普通はこういうものに共感する」という作られた共感なので、比奈子には共感できませんが。

 

実は今後、書こうと計画しているもののひとつに、「共感できない人間ってどうよ?」というテーマがあるのですが、この作品は先に形にしてくれた気がします。

 

去年、一度書こうと思って考えたことがあるんですが、そのときは「共感性が一番影響を及ぼす時=恋愛モノ」しか思いつきませんでした。しかし共感性の低い人間に恋愛モノはハードルが高く、コンクールに通るようなストーリーやキャラクターは出てこなかったので、先送りになっています。

 

この作品を見て、「共感性の低い人間を描くのに刑事モノにするのか!」と驚き、「やられた」と素直に感心しています。なので、しっかり参考にさせてもらおうと思います。

 

ただ、この作品のテーマは、「共感性の低い人間」というより、「誰の心にもあるモンスター」という方向に見えますので、どこまで「共感性が低い」ということを深めてくれるのかはわかりませんが。

 

それがどうなのかわかるのが、要潤さん演じる倉島先輩の扱いです。倉島先輩は、殺人現場を見ると吐いてしまい、被害者に対する「かわいそう」という言葉にも実感がこもる、共感性の高い人という位置づけです。しかし今は、比奈子のことが好きなために、変な行動をとってしまうボケ役になっています。

 

制作側に「共感性とは?」というテーマ意識があれが、共感性の高い倉島先輩と、共感性の低い比奈子にコンビを組ませて、もっと共感性を軸に突っ込んでくるように思います。

 

今後の展開が楽しみです。